【モダンイタリア弦楽器史の逸品】Carletti Orfeo オルフェオ・カルレッティ ボローニャ 当代随一の名工
【モダンイタリア弦楽器史の逸品】Carletti Orfeo オルフェオ・カルレッティ ボローニャ 当代随一の名工
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ラベルの特徴と真贋の手がかり 専門家ジョン・ディルワースの記録によれば、オルフェオは手書きラベルと印刷ラベルの両方を用いており、例えば手書きラベルには「Carletti Orfeo di Carlo / fece in Pieve di Cento / Bologna」(カルレッティ・オルフェオ、カルロの息子)、ピエーヴェ・ディ・チェントにて製作、ボローニャ)と記し、印刷ラベルでは父名の部分が省略され「Carletti Orfeo / fece in Pieve di Cento / (Bologna) Anno 19..」と表記されていました。この印刷ラベルの文言を日本語に直訳すると「オルフェオ・カルレッティ、(ボローニャ県の)ピエーヴェ・ディ・チェントにて製作、19..年」となります。 ラベルの書式を見ると、上記の通り製作地として Pieve di Cento (Bologna) と併記されています。ピエーヴェ・ディ・チェントは1929年以降ボローニャ県に編入された町で、それ以前はフェッラーラ県に属していましたが、ラベルには(ボローニャ)と括弧付きで記すことで場所を明確にしています。ラベル末尾の「Anno 19..」は西暦年号を示すもので、該当する製作年の下二桁が手書き等で書き込まれたものと推測されます。 ラベルに使われている紙や書体についても興味深い点があります。カルレッティ一族のラベルデザインは当時の特色を反映しており、例えば父カルロ・カルレッティのラベルでは幅広のサンセリフ体(バストーニ・ラルギという書体)で氏名が印刷され、その他の部分はローマン体で組版されていました。オルフェオの印刷ラベルもおそらく同様のフォント組み合わせが使われていたと考えられます。印刷技術で制作されたラベルには飾り罫や点線の枠が付いていた例もあり、全体に整ったタイポグラフィが特徴です。ラベル紙そのものは、年代相応に経年変化した色調(薄茶色化や繊維の風合い)が見られるはずで、現代的な紙とは質感が異なります。真贋鑑定においては、ラベルの内容だけでなく紙質や印字の様式・劣化具合も重要な手がかりとなります。 もっとも、「ラベルの存在それ自体は真贋の証明にはならない」というのは古くからの定説です。偽作のラベル貼り替えもあり得るため、カルレッティのような著名製作家の楽器を鑑定する際には、ラベルだけでなく楽器本体の諸特徴と照合することが不可欠です。 鑑定書はありません。真贋の保証はできません。 製作様式の特徴(木材・ニス・デザイン) オルフェオ・カルレッティの製作したヴァイオリンには、20世紀ボローニャ派の流れを汲む特徴的な様式が見られます。彼の師である父カルロは、ボローニャの巨匠ラッファエレ・フィオリーニやその高弟だったポッラストリ兄弟(アウグストおよびガエターノ・ポッラストリ)と同時代人で、その影響を受けていました。オルフェオ自身も製作スタイルにおいてガエターノ・ポッラストリから強い影響を受けており、楽器のモデルや細部の仕上げにボローニャ流の洗練が反映されています。例えば、ニス(ヴァーニッシュ)はフィオリーニ〜ポッラストリ系統に典型的な油性ニスで、色調は黄金がかった黄褐色から濃い赤褐色まで様々ですが、いずれも深みと美しい光沢を備えています。 オルフェオの木材選択にも一族やボローニャ派の傾向が見られます。カルレッティ家全体として、裏板に比較的柔らかい木材を用いることを好む節があり、チェロなど大型楽器ではポプラ材(ポプラの木)や板目取りの楓(メイプル)を使用した例が多く報告されています。ヴァイオリンにおいても、板目の一枚板裏板ややや節理のある虎杢を持つ楓が用いられることがあり、同時期の他のイタリア製作家にはない個性を醸し出しています。もっとも、典型的な作品では美しい虎杢の2枚板メイプル裏板と細かな年輪のスプルース(マツ科)材の表板が使用され、材料自体は最高品質のものが選ばれています。 スクロール(渦巻き頭部)の造形は、オルフェオの最も高く評価される点の一つです。彼の渦巻き彫刻は非常に精緻で、父カルロや兄ナターレを含む一族の中でも随一の巧みさと称されています。渦巻きの渕(へり)には深い面取り加工が施されており、その陰影が力強い印象を与えます。この深いスクロールの面取りとエッジの立った彫り込みは、モダン・ボローニャ派の典型的特徴であり、ガエターノ・ポッラストリらの作品とも共通する点です。オルフェオのスクロールは、全体の対称性や渦巻きの開き具合、ナイフの切れ味まで含め「ほぼ完璧に近い仕上げ」と評されるほどで、鑑賞者を唸らせる美しさと精度を備えています。 f字孔(エフ孔)の形状や彫りもまた、ボローニャ派らしい整然としたスタイルです。具体的な文献記述は多くありませんが、現存作品の写真からはストラディバリ系モデルを基調としつつも、わずかに細身で開放的なf字孔であることが読み取れます。彫刻のエッジは鋭く、f孔の「ハート」(上部の丸穴)や「テイル」(下の三日月状の切り込み)も丁寧に仕上げられています。こうした細部の仕事ぶりにも、オルフェオの細部への鋭い眼識と高い工作精度が表れており、「彼の作品の細部はまさに完璧に近い」と同時代の関係者に評された逸話もうなずけます。 さらに、オルフェオの製作にはモデル(型)やアーチングの独自性も指摘されています。彼はストラディバリモデルを基本としながらも、自身の感性で若干の改良を加えていたようです。例えば、ボディのアウトライン(輪郭)はストラド的な均衡を保ちつつ、コーナー部(鋭角部)の形状にはわずかに丸みと張りをもたせ、エッジはやや厚めで力強い処理がなされています。この大胆なエッジワークとやや厚めの輪郭は、音響的にも剛性を高めパワフルな響きをもたらす効果があると考えられます。実際、オルフェオの楽器は後述のように力強く深みのある音色で知られますが、その秘密はこうしたモデル設計や厚み配分にもあるでしょう。 全体として、オルフェオ・カルレッティのヴァイオリンは20世紀イタリアンの最高水準に位置付けられる品質を備えています。同時代の他の製作家(例えばトリノのファニョーラやミラノのアンジェリやローマのセラフィンなど)と比較しても、ボローニャ派の伝統に根差した確かな作風と高度な技術力で一線を画しています。オルフェオの作品は、古典的なイタリア名器(ストラディバリやグァルネリ)の模倣に留まらず、20世紀という時代の中で独自の美学と音響を追求した点で価値が高いと評価されています。 オルフェオ・カルレッティの生涯と工房 オルフェオ・カルレッティ(Orfeo Carletti, 1906年生 - 1940年没)は、20世紀前期イタリア・ボローニャのヴァイオリン製作家です。エミリア・ロマーニャ州のピエーヴェ・ディ・チェント(ボローニャ県)に生まれ、父は同じく名工として知られるカルロ・カルレッティ(1873–1941)でした。幼少より父カルロに製作の手ほどきを受け、兄のナターレ・カルレッティ(1904–1979)と共に工房で修行しました。オルフェオ自身、ヴァイオリン奏者(ヴァイオリニスト)としての顔も持ち合わせており、演奏者の視点から楽器製作に取り組んだ人物でもありました。 1928年、オルフェオは兄ナターレと共に父の指導の下でボローニャ市内に自身たちのヴァイオリン工房を開設します。その場所は、19世紀に父カルロが修業していたラッファエレ・フィオリーニ工房の近く、ボローニャ旧市街のデ・ペポリ通り周辺でした。このカルレッティ兄弟の工房はおよそ6年後の1934年頃まで営業し、その後オルフェオは故郷ピエーヴェ・ディ・チェントに戻って父の工房を継承したとされています。しかし1940年、34歳という若さでボローニャにて早世し、惜しまれつつその短い製作家人生を閉じました。 なお、カルレッティ一族はイタリアのモダン製作史において非常に重要な存在です。初代カルロから始まり、その息子たちナターレ、オルフェオ、ヌッロ、甥のジェヌツィオ、さらに孫のガブリエーレへと系譜が続き、110年以上にわたり製作が行われました。現在でも孫世代のガブリエーレ・カルレッティ(1948年生まれ)が活動を続けており、一族の伝統は受け継がれています。このような背景の中で、オルフェオ・カルレッティはカルレッティ家で最も優れた製作家との評価もあります。 楽器の評価と市場での位置付け オルフェオ・カルレッティのヴァイオリンは、その希少性と品質の高さから、現在の楽器市場でも高い評価と取引価格を維持しています。彼の製作本数は早逝のため多くありませんが、現存する作品はプロの演奏家やコレクターに非常に人気があります。専門ディーラーによれば、「オルフェオの楽器は同家の他の製作家に比べて現存数がごくわずかで、そのため愛好家の間で需要が非常に高い」とされています。実際、オルフェオの楽器は市場に出る機会自体が稀ですが、出品されると高額で取引される傾向があります。 公開オークションの記録を見ても、カルレッティの評価の高さが窺えます。最高額の記録は2007年2月のイギリスにおけるもので、1933年製のオルフェオ・カルレッティのヴァイオリンが21,600ポンド(当時のレートで約400万円)で落札されています。2000年代以降は市場の評価が上昇し、2万ドル台後半から3万ドル以上の値が付くことも珍しくありません。また、楽器商での販売価格を見ると、2010年代後半にはオルフェオのヴァイオリンが2万5千ドルから3万ドル前後(約350〜420万円)で提示されている例があります。カルレッティ家で見ると、兄のナターレ・カルレッティが長命を保ち多数の作品を遺しました。ナターレは1941年に父カルロの後を継いで工房を主宰し、ヴァイオリン約200挺、チェロ約200挺、コントラバス20挺以上を製作したと伝えられています。また1949年のクレモナ国際製作コンクールではコントラバス部門で金賞を受賞するなど高い評価を受けました。兄ナターレの作品は数が多いため市場でも見かける機会がありますが、その平均的な取引価格はオルフェオほど高騰していません。一方でオルフェオの作品は数が少なく品質も優れるため、同時期のナターレ作品より高額で安定しています。専門家の評価でも「オルフェオの方がナターレより細工の水準が高く、ディテールへの配慮はほとんど完璧」とまで評されており、そのぶん希少価値が加味されて価格にも反映されているといえるでしょう。 博物館や公共のコレクションにおける収蔵状況としては、オルフェオ・カルレッティを含むカルレッティ一族の作品が故郷ピエーヴェ・ディ・チェントで郷土資料的に保存・展示されています。ピエーヴェ・ディ・チェント市の音楽博物館(テアトロ・アリーチェ・ゼッピッリ付設音楽資料館)では、カルレッティ、ガンベリーニ、ゴッティら地元出身の弦楽器製作家の遺品や楽器が展示されています。この中にはカルロ・カルレッティの工具類や作品が含まれる他、オルフェオやナターレの製作楽器が収められている可能性があります(展示リストには「Carletti」の名が明記されています)。そうした郷土博物館での展示は、カルレッティ一族の110年に及ぶ製作の歴史を物語る貴重な証左となっています。鑑定書はありません。真贋の保証はできません。ラベルドということでご理解お願いします。
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価格 : 2,200,000 円 (税込)
